プラズマローゲンのこれまでの研究や効果について調査しました。
プラズマローゲンサプリなどに含まれる成分の一つ「クリルオイル」について詳しく解説します。
クリルオイルとは、オキアミと呼ばれる生物から抽出した油のこと。オキアミにはさまざまな種類が確認されていますが、それらの中でも最大の体長を持つ種類が、南極海に住む「ナンキョクオキアミ」。主に、この「ナンキョクオキアミ」から抽出した油を指してクリルオイルと言います。
オキアミとは、エビによく似た形をした海洋生物。生物学上の分類では、エビではなく、ミジンコと同じ動物プランクトンです。 一般的なオキアミの体長は、約0.5~1.5cmと非常に小型。一方で、クリルオイルに利用されている「ナンキョクオキアミ」は体長が約6cmと、多くの種類のオキアミの中でも、もっとも大きい種類と言われています。
食用資源の乏しい南極では、オキアミはさまざまな生物の大切なエネルギー資源。南極海に住むクジラ、アザラシ、ペンギン、イカなどの主な補食対象の一つとなっています。南極の生態系を支えるうえで、オキアミは非常に重要な役割を果たしているのです。
オキアミの資源量は非常に膨大。南極海には、世界中の年間漁獲量を上回るほどのオキアミが生息していると言われています。 膨大な資源の背景にあるのは、オキアミの産卵数の多さ。オキアミは、1回の産卵につき6,000~10,000個もの卵を産むため、たとえクジラやアザラシに大量に補食されたとしても、その資源量は一定で保たれていると言われています。
クリルオイルには、主にDHA、EPA、アスタキサンチンが多く含まれています。
DHAとは、人間の体に必須とされる脂肪酸の一種。オメガ3系と呼ばれる脂肪酸の種類に属し、主に脳の働きを良くする成分として知られています。 オキアミの他、イワシやサンマなど、青魚にも多くのDHAが含まれていることが知られています。
EPAもまた、DHAと同様にオメガ3系に属する脂肪酸の一種。主に、血液をサラサラにする働きや、脳を活性化させる働きを持つことで知られています。 EPAは、オキアミ、青魚などに多く含まれています。
アスタキサンチンとは、βカロテンやリコピンなどと同じく、カロテノイドの一種。高い抗酸化作用を持つことで知られ、主に脳機能の改善や眼精疲労の予防に高い作用を持つとされています。 アスタキサンチンは、オキアミやエビ、カニ、サケなどに多く含まれています。
日本女子大学の研究グループは、クリルオイルが脳にもたらす作用を確認するため、ある臨床試験を行ないました。 被験者は、60代と70代の健康な男女45名。15名を1組として、クリルオイルの組、イワシオイルの組、プラセボ(偽薬)の組の3組に分け、12週間にわたりそれぞれの成分を摂取してもらいました。
なお、すでに説明したとおり、クリルオイルには脳の働きを良くすると言われるDHAとEPAが多く含まれていますが、イワシオイルに比べると、その含有量は1/2以下です。また、プラセボ(偽薬)にはDHAもEPAも含まれていません。
3つの組それぞれにおいて、脳の酸化ヘモグロビン濃度の変化を測定しました。 その結果、プラセボ(偽薬)を飲んだ組では、摂取して12週間たっても、脳の酸化ヘモグロビン濃度は変化しませんでした。 イワシオイルを飲んだ組では、摂取して12週間後、「前頭前野外側部」の酸化ヘモグロビン濃度がやや上昇しました。 クリルオイルを飲んだ組では、摂取して12週間後、「前頭前野外側部」と「左前前野」の酸化ヘモグロビン濃度が著しく上昇しました。
脳の働きには、脳への酸素供給が必要です。脳へ酸素供給を担うのは、血液の中にあるヘモグロビン。ヘモグロビンと酸素が結合して酸化ヘモグロビンとなり、脳へと運搬されることで脳が活発に働きます。つまり、脳の酸化ヘモグロビン濃度が高ければ高いほど脳の働きは良くなる、ということです。 ところで、上記の実験において登場した「前頭前野外側部」とは、主に作業記憶を司ると言われている部分。作業記憶とは、簡単に言えば、ものを考えるときに動員される記憶のことです。作業記憶をうまく引き出すことができなければ、ものを十分に考えることができません。 また「左前前野」とは、一般に計算能力を司ると言われている部分。算数・数学などの計算はもちろん、物事を論理的に考える際にも大事な役割を果たすと言われています。
改めて、上記の試験ではクリルオイルを飲んだ組において、「前頭前野外側部」と「左前前野」の酸化ヘモグロビン濃度が著しく上昇しています。クリルオイルによる脳機能への作用が示唆される重要な試験結果です。